『最近、オナラが良く出る、出過ぎる』
『最近、オナラが臭い』
という悩みで、胃腸内科を受診される患者さまがいらっしゃいます。
オナラは、飲み込んだ空気が7割ほどで、残りの3割ほどは体内で発生したガスといわれています。ほとんどのガスは腸管に吸収されますが、吸収されなかったものが、オナラとなって体外に出て行きます。オナラは、腸内細菌のバランスが崩れたときや、早食いをしたり、ガムや飴を多く食べたときに、口から飲み込む空気が増えて出やすくなります。
具体的に要因について説明していきます。
■食生活
1.肉類中心の偏った食事
→脂質やたんぱく質などを多く含んでいる肉類を中心の食事は、オナラが臭くなる傾向にあります。動物性食品(お肉や卵)は、悪玉菌を増やしてしまい臭いのあるガスを発生させやすくなります。そのため焼肉などを食べたあとは臭いオナラをする人が多いのです。特に、脂肪分が多い食材や肉類は消化するのに時間がかかりやすく、腸でバクテリアの発酵が頻繁に起きてしまいます。
2.食物繊維が多いもの
→なかなか消化されず、腸内に残りやすいため、酵素分解によるガスの発生が増えます。ただ、食物繊維は腸内環境を整える上で大事な成分です(下記参照)。おならが多くて気になっている方は、食物繊維をとりすぎていないか自分の食生活を振り返ってみるのも良いかもしれません。また食物繊維が豊富な食材を食べる量を徐々に増やしていくことが解決につながることもあります。
3.発泡飲料
→ビールや炭酸飲料などの発泡系飲料も、炭酸が二酸化炭素と水に分解されおならが出やすくなるといわれています。
■禁煙
一度タバコを吸っていた人が禁煙を始めると、腸内細菌が増え腸に入ってきた食材を分解しすぎてしまい腸の中にカスが残っている時間が長くなってしまいます。禁煙している時にでるおならはニオイもきつくなることが多いのが特徴です。
■ストレス、睡眠不足
ストレスや睡眠不足が続くと、自律神経のバランスが崩れ、副交感神経が上手く働かなくなり胃腸の働きが低下し、消化が遅れ、ガスが発生しやすくなります。
オナラをなくすことはできませんが、生活の中でガスがたまって出にくいといったことでオナラがストレスにならないようにするための対策はあります。
1.規則正しい食生活と食事の際にはよくかんでゆっくり飲み込むことを心掛けましょう
よく噛む人は唾液が多く分泌され、余分な空気を吸い込まずに飲み込むことができます。それに比べて噛む回数が少なく早食いの人は、余分な空気を体内に取り込んでしまう場合が多くガスの発生率を高めてしまいます。また噛む回数が少ないと、胃に負担がかかってしまい食べ物が腸に残りやすく、腐敗が起きてしまいます。そうなると臭いオナラが出やすくなるという事が起きてしまうので、食べ物はゆっくりよく噛んで食べましょう。
2.食物繊維をしっかりとりましょう。
食物繊維をより多くとることで腸内環境を良い状態に保てば、便秘や軟便などお腹のトラブルの解消が期待できます。気になるおならの原因が便秘や軟便の場合、食物繊維を意識的にとって腸内環境が改善されると、結果としておならの回数や臭いの軽減が期待できます。食物繊維には大きく分けて2種類があります。水に溶けやすい「水溶性食物繊維」と水に溶けにくい「不溶性食物繊維」です。2種類共に腸内環境を整える効果が期待できます。水溶性食物繊維は腸内環境を整えるのに不可欠な善玉菌のエサとなり、善玉菌を育てる効果があります。また、不溶性食物繊維は便の体積を大きくすることで腸を刺激し、便を排出しやすくします。「不溶性食物繊維」を豊富に含む食材は、そばやライ麦などの穀類・切り干し大根などの野菜類・きのこ・海藻などです。「水溶性食物繊維」を多く含む食材は、トマトやごぼうなどの野菜類・小麦や押し麦などの穀類・いも類・豆類・果物などです。「不溶性食物繊維」をとりすぎてしまうと便秘が悪化してしまう場合もあるので注意が必要です。
3.便秘をなくし、腸内環境を整えましょう
腸内に食べたものが長くとどまれば、不要なガスが発生しそれだけおならが出やすくなります。
4.食生活を見直しましょう
においが気になる場合、食べ物を見直しましょう。悪臭は、腸内の悪玉菌が原因の一つとして考えられます。乳酸菌を積極的にとり、バランスのよい食事を心掛けましょう。ヨーグルトの場合、使われている菌がさまざまで、合うものは人によって違います。どんな菌がどのくらいいるのかという腸内細菌の構成が人によって違うため、相性のいい菌、あまりよくない菌があります。どれが自分に合っているかを知るには、2週間、その食品を摂ってみて便秘などが改善されたかをみてみましょう。
ただし、内臓に病気(ピロリ菌感染、過敏性腸症候群、クローン病、大腸がんなど)があることで消化不良をおこしておならが良く出る、ニオイがきつくなることもありますので、定期的な胃・大腸内視鏡検査を受けましょう。
オナラ自体は病気ではありません。
悩んでいる方は、ぜひこれらの対策を試みてはいかがでしょうか。