効率的にダイエットをしたい方へ

肥満の弊害

食生活やライフスタイルが多様化する現代社会では、過食や運動不足による肥満やメタボリックシンドロームが大きな問題となっています。日本における肥満者の数は増加の一途をたどり、20~60歳の成人の20~30%が肥満に分類されています。
肥満は、糖尿病、高血圧、高脂血症などの生活習慣病に繋がり、最終的には心臓病や脳卒中などの生命を脅かす病気の発症リスクを高めます。重度の肥満は、寿命を約10年縮めるとも言われています。また、肥満は精神面にも大きな影響を及ぼし、うつ病のリスクを高め、幸福感を下げることにも繋がります。
肥満は、個人の問題だけでなく、医療費の増加に繋がる社会問題でもあります。

ダイエットで得られるメリット

• ボディラインが整い、見た目の印象が引き締まる
• 肌のコンディションが整いやすくなる
• 生活習慣が整い、健康的なリズムが身につく
• 自信がつき、前向きな気持ちになれる
• 将来的な生活習慣病のリスク軽減できる

ダイエットの基本

周知のこととして、ダイエットには以下の基本が欠かせません。

1. 適切なカロリー摂取
2. 適度な糖質制限
3. 血糖値の管理
4. 食べる順序
5. 運動
6. 薬物療法

糖質制限ダイエットの落とし穴

糖質制限ダイエットが流行し、「高カロリー・高糖質=太る」という認識が広まりました。
しかし、無差別にカロリーや糖質を制限すると、健康を損なうだけでなく、かえって太りやすい体質になってしまう可能性があります。
その理由は、次のとおりです。

1. エネルギー不足の状態での食事回数が増え、血糖値が急上昇する
2. 筋肉量の減少することで、代謝が悪くなり、太りやすくなる
3. 満腹感の低下することで、ストレスが増加し、過食のリスクの高まる

自己流の糖質制限ダイエットでは、「最初は簡単に体重が減ったが、その後は変化がない」「リバウンドした」といった不満がよく聞かれます。これは上記の要因によるものと考えられます。
体重を減らしながら、痩せやすい体を作りたい場合は、血糖値のコントロールに重点を置くことをお勧めします。血糖値コントロールによるダイエットは、カロリー制限や炭水化物制限よりも食事の満足感を高めることができるのが特徴です。

血糖値スパイクで太るメカニズム

カロリー摂取に気を付け、努力しているにもかかわらず体重が減らない場合は、血糖値の急変動、つまり血糖値スパイクが原因である可能性が考えられます。

1. 糖質（炭水化物）を摂取すると血糖値が上昇し、
2. 血糖値を下げるためにインスリンが分泌され、
3. 使われなかった糖は脂肪として蓄えられます。
4. 血糖値が急激に上昇すると、脳は血糖値を早く下げなければならないと判断し、さらにインスリンを分泌します。

つまり、血糖値が急上昇すればするほど、体脂肪が蓄積され、体重増加に繋がる悪循環に陥ります。さらに、血糖値が急上昇すると、その後急激に低下します。血糖値が急激に低下すると、脳は炭水化物を欲し、食欲が増して過食に繋がります。
血糖値スパイクは、食後数時間で正常に戻りますので、定期的な健康診断では気づかない場合が多く、「異常なし」と診断されます。

血糖値スパイクにより損なわれる美容と健康

現代人は、自覚のないまま過剰に糖質を摂取し、知らず知らずのうちに糖質への依存状態に陥っていることが少なくありません。血糖値が急激に変動する「血糖値スパイク」は、単に肥満の要因となるだけでなく、体調の乱れや老化の加速（外見・内臓ともに）、さらには様々な病気にも繋がります。
食後に血糖値が急降下することで生じる低血糖状態は、強い眠気や頭痛、吐き気といったつらい症状を引き起こすことがあります。日常的な疲労感や倦怠感、仕事中の眠気、高血圧など、多くの不調の背景には、90%以上の割合で血糖値の乱れが関係しているとも言われています。
さらに、血糖値スパイクを繰り返すことにより、血管の硬化が進行し、心筋梗塞や脳卒中といった命に関わる事態のリスクも高まります。
糖質を摂る際には、糖分の多い清涼飲料水やスナック菓子など特に害の大きいものを控え、米やじゃがいも、果物といった自然由来の食品についても、摂取する量やタイミングを工夫することで、血糖値を安定的に保つことが可能になります。
「血糖コントロール」という言葉がよく使われますが、それは単に糖質を極端に避けることではなく、適切な管理によって体調を整えることが重要と言えます。